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義祖母逝く

2月1日早朝、義理の祖母(奥さんの父上の母親)が永眠しました。
享年94歳(数え歳)の人生でした。

だいぶ前から足が悪く自力では歩行する事が困難だった祖母は、岩手県の山あいに位置する
実家でご両親(祖母から見れば息子とその嫁)の介護を受けながら暮らしていました。

夏休み(お盆の時期)にYクンを連れて帰省すると、殆ど聴こえない耳な筈にも関わらずニコニコと
微笑んでYクンの「おばあちゃん!ただいまー!遊びに来たよーっ!」といった声にうんうんと
頷いていた姿が偲ばれます。

実家の義父から

「お祖母さんの具合が悪くなって(意識が弱くなって)診療所に入院した。医者は
『保って後数日かもしれない』と言っているから心の準備をしておきなさい」

との電話が有ったのが昨年の暮れも押し迫った12月30日の昼過ぎでした。

年が明けた1月4日に奥さんだけが日帰りで見舞いに行ったのですが、やはり意識は戻っていなくて
かろうじて弱く静かに呼吸をしているだけだったとの事でした。

2月2日(土)の朝早くYクンを連れて三人で実家へ帰り、家族や親族が総出ですしそれに加えて集落
の人達のお手伝いを得ながら無事に葬儀を終えたのが4日(月)の夜でした。

岩手県の山深い田舎村なのですが、その土地に旧くから伝わる風習に従った葬儀のやり方があるらしく
全てを自分達の手で行なうのでした。(葬儀屋さんとかは一切出番無し)勿論実家で、です。
ワタシとしてはそれは初めての経験だったです。自分の祖父・祖母の葬式は既に数年前に済んでいますし
仕事関係等で何回かの通夜や葬儀・告別式等にも幾度か参列して来ましたが、例外無く全ての式が葬儀屋
さんのスタッフ達が粛々とこなす段取りに従って執り行われていたモノでした。

想像(すらしていなかったと言うのが本音ですが)を遥かに超えた大変さ・忙しさでしたが、故人をお送り
するという事はこういう事なんだな・・・と分かった様が気がしました。

東京へ帰る5日(火)になり、義父と義母に「身体を大切にして下さいね」と声を掛けたワタシに、義母は

「この寒い時期にこうして駆け付けて来てくれてしかも色々手伝ってくれてありがとね・・・・・。
ワタシはね・・・お祖母さんにやってあげられる事は全てやってきたつもりなの。だからこれからは
自分の休みたい時には休ませて貰うし、寝たい時に寝かせて貰うし、食べたいものを食べさせて貰う
つもりだよ。そうしてもバチは当たらないよね・・・?
だから私たちの事は心配しないで、○○(自分の娘でありワタシの奥さんの名前)とYクンをどうか幸せ
にしてやってちょうだいね・・・・頼んだよ・・・」
と目に涙をいっぱい溜めてワタシの手を両の手でしっかりと握りしめ、何度も何度も頭を下げるのでした。

通夜振る舞いの夜に義兄さんに聞かされていたのですが、義母は20年以上の歳月を祖父と祖母の介護に
骨身を削りながら費やして来たのでした。山間部の古い家に嫁ぎ、五人の子供たちを育て、田畑の野良
仕事を義父と共に精を出しながらの介護を20年以上に渡って毎日暮らしてきた義母の苦労たるや・・・。
その義母が、自分の事なんかより娘の幸せを祈り、願う気持ち・・・。

その義母の心を思うと私も涙が止まりませんでした。

祖母の葬儀を通じて、とても大切な、だけどともすれば都会に暮らす自分なんかは忘れてしまいがちな
コトを学ばせて貰った四日間でした。


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コメント 3

kyao

本当に大変な日々を過ごされましたね。お疲れ様でした。
こういうときにしか覗けないそれぞれの本当の顔みたいなものもあります。私は逆にかんびさんにこうしたお話を聞かせていただき、なんかホッとした気がします。
最後になりましたが、残られた義両親様とかんびさんご家族のご健康。そして故人様の安らかなることを心よりお祈りいたします。
by kyao (2008-02-07 08:47) 

NO NAME

謹んでお悔やみ申しあげますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。

今までご経験の無い、慣れないご葬儀大変でしたね。お疲れ様です。
私も喪主の経験がありますので、葬儀がこんなに大変なものなのかと思いました。
地元でも、ほとんど業者さん任せ。。楽なことはいいんですけど、味気ないと感じる面も・・。
こちらも昔は隣近所、集落全体でお弔いする慣習はあったのですが、時代とともに途絶えてしまいました。
by NO NAME (2008-02-07 09:06) 

かんび

☆kyaoさん
心暖まるコメント、本当にありがとうございます。
普段は口数も決して多くはない義母の心の奥底からの言葉だったと思います。
染みました。

☆NO NAMEさん
お悔やみの言葉、ありがとうございます。
時の遷り変わりと共に人と人の繋がりが少しずつ希薄になって来てしまっているのでしょうね・・・。
by かんび (2008-02-21 01:56) 

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